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大学生実習体験 : 厚紙と木工ボンドでつくる模型タンカー

尾道造船(株)設計部 郭野恭弘

熱心に模型製作中の実習生
熱心に模型製作中の実習生
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模型完成時の記念撮影
模型完成時の記念撮影
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猛暑の今夏,恒例の大学生の造船所実習が尾道造船で実施されました。例年,設計部での実習生指導は,座学中心で船の基礎的な内容に限られていました。学生によっては,船舶を専門にしている人もいれば,機械や化学を専攻している人もおり内容によっては退屈 なことも想定された。そこで,思いついたのが昨今流行の付録付き書籍でした。簡単な冊子に目を通し,手を使い実際にものをつくる方法は,船の構造を理解するのにも有効だろうと考えたのです。

現在発売されている船舶関係の付録付き書籍は,「タイタニック −よみがえる幻の豪華客船−」「ザ・バウンティ −伝説のバウンティ号を作ろう−」があり,個人でも気軽に大型・リアル模型を製作することができます。但し,製作には長い日数 (約 2 年) と財力 (約 10 万円 / 1 船) が必要です。

さて,実際に実習で製作した模型は,弊社ベストセラーである D/W 47,000MT PRODUCT TANKER としました。8 人の実習生で約 1.5 日の製作時間を考慮し,鋼板代わりに厚紙,溶接の代用として速乾性の木工用ボンドを使用しました。厚紙に貼り付けた 1/50 工作図 (組立図) にて記号や船体方向を説明し,NC 切断をハサミまたはカッターで代用し切り抜き,ロンジを板材に取付ける小組から始め,中組,大組へと作業を展開していきました。

最後は,船台を想定した長テーブル上でのブロック搭載しバット部を溶接 (セロテープにて接着) し,総ブロック数 138 のうち船体中央部の左舷側 14 ブロックが完成しました。偶然にも組立完了したブロックには,多少すき間もあり各ブロック精度が悪いと組立,溶接が困難であることを体で実感してもらうこともできました。

例年と異なる手法で,実習生に造船所での仕事を体験してもらいましたが終始学生の目が輝いており,未来の造船マンの姿を見るようでした。

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